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風呂あれこれ PartⅡ


温浴施設の設計を手がけて40年、風呂への思いを綴ります。
by plus-plan
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老朽温泉施設


とある温泉施設の建替え工事の設計をすすめている。

営業を一旦終了し工事に入っていくので最終(に近い)の入浴をさせてもらった。

20年という営業期間を経て当然 老朽しているのだが、温泉の成分の付着などはあるが不潔感の無い浴場で、昨今新設された施設よりもむしろ魅力あるものでしっくり馴染んでいる。 

数十年を経ると石材も丸みが出てところどころタイルの色も変わり、もちろん据えられた天然石には喫水線の染みも明瞭になっている。

浴室の床や壁も含んで温度がなじむように思う。浴槽はもちろん周囲の躯体コンクリートがあるいは土壌にまで温水の温度やサウナの温度が伝播している。

知名度のある各地の外湯や総湯と言われる施設に年月を経ていることが魅力的な施設もかなりある。みがき込まれ、地域に愛され利用されつくした施設ということでも評価されるものは多い。

一般にあたらしい施設というのはセメントっぽいニュアンスがなかなか抜けない。
本来温泉施設というものはそういう時間を経て魅力的になってくるように仕掛けておきたいものであるのだが 昨今、短期回収が目標になり施設の耐用年数と設備の寿命とがうまく一致しない。

どのように調整するかが鍵になっている。

温泉の成分温度など千差万別なので一概には言えないが、温泉配管は露出で引替えが簡単というのが相場であったのが近年、埋設になることが多い。こういうことが建築寿命と配管設備のそれとのギャップを埋められない原因になっている。

温泉施設は、結局は一人ひとりの利用者が裏切られず安心して入浴することにしあわせを感じ、くりかえし利用されることで年輪をかさねていくことなのだろう。

# by plus-plan | 2010-04-17 19:23 | ふろのこと

大量集客のふろ


有数の「よく入る施設」の見学に参加させていただいた。

岩盤浴と入浴、飲食さらにリラクまで体験した。

オープンされた頃にも、その二年後くらいにも入浴しているので経緯が分かって興味があり貴重な体験であった。

前回訪問したときはある計画施設のための参考にということである事業主とやはり同行した そのときは数店舗同時に例の「入浴のはしご」になり、あまりゆっくりと見ることができなかったし、「よく入っている」こと以外共通の興味が薄かったことがあった。

そのときは施設のことよりも造成や駐車場の配置関係などにこの施設の特徴と言うか、近隣施設との差別化を見るべきものとして考えていた。

ハードは昨今のように差別化のための工夫が多くあるわけでなく、よく言えばある種、王道を行くものだろう。しかし同種の施設が他の地域に多くあって入るものも入らないものもありそれが集客の決定打ではないことが伺える。

それよりも大きな要素は周辺の類似施設との競合状況のなかでの本施設の位置付けと言うか性格付けに成功することが大きい要素である。

そして事業主が自分で施設運営のほぼ全てを見て、指示していることが窺がえる。ましてキャパオーバーをずっと継続しているのだから、本来なら利用者の総すかんがあってしかりなのだが、利用者の支持を維持していることがそれを物語る。衰退傾向の岩盤浴利用率も高価な設定なのに高い。ほかの施設では考えにくい。

岩盤浴ゾーンにいるあいだにも、従業員2人セットで消毒清掃用具をもって定時清掃に回っている。客の居るところで。
不潔であるという疑念とそれをイメージさせないやり取りであり、利用客の少ないところでは経費もかさみとてもできないことだろう。

しかしそう年数が経っていない割には傷みが早いように思う。

これはしかたが無いだろう。特に風呂周りはただでさえ傷み、漏れ、汚れがどんどんやってくる。
汚れや傷みの目立つというのと、不潔というのは似て非なるもので、この施設では不潔を感じさせるところは目立つことはなかった。

しかし訪問日は平日で寡客日だったが満員御礼の日のふろはどうなのだろう。どんなキャパシティで設計されているのだろうか。

# by plus-plan | 2010-04-04 17:43 | ふろのこと

ふろあれこれ

長年続けていたこちらのブログでちょっとしたミスがあり住み替えをせねばならなくなりました。
そういうことでしばらくぶりになってしまいました 申し訳ありません

  あたらしい住所地が快適でありますように

その間、機会があってよそさまの設計された施設のことやらでいろいろあって

いつも思うところの温浴施設の飲食業というもののあり方をすこし再考してみて

人気施設の温浴ゾーンは風呂が良い、温泉や露天風呂が良い、サウナが良いなどあると思うが、それより「付帯施設」と考えている飲食やマッサージ休憩室などが特徴を持ち、魅力的なところは潜在的に利用客が施設全体の付加価値を感じていると思う。

一例が温浴レストランで食事はしてみたが二度と食べないと思った「レストラン」の利用客は温浴施設そのものにも足が向かなくなる。
結果として温浴付帯の飲食はよい加減にしていると、店としてはとんでもないしっぺ返しをうけていることになる。

手を抜くくらいならほかのことに変えてしまうほうがよい。

リラクゼーションはもっと分かりやすい。高くて下手なのは取り返しがつかない。
ああ上手だったさすがだねと思わせるところがほとんど無いように思うがどうだろう。

これも施設全体のイメージに悪影響を及ぼす。

そういう意味で温浴の飲食をすこし原価率を上げてでも利用率、数を上げるようにすることがひいては施設入館者数を上げることにつながると思う。

それと、温浴施設同士が激しい競合をするのだから飲食こそ差別化が出来る要素を持っているところではないかと思われる。

直営か委託或いはテナントかで運営されるがそういう加減の効くところでないと施設全体がうまくいかない。飲食受託者はこういう現状なのだからさまざまな提案をもってアピールしたらどうだろう。店舗全体の特徴づけのために飲食をどうにかしたい施設が大半なのだから。

# by plus-plan | 2010-04-03 16:24 | ふろのこと